SIerはなぜ労働時間が長いのか?業界に潜む構造的な問題

長時間労働は文化です。
中にいる人間の能力であったり、生産性と残業時間はあまり関係がありません。

長時間労働の一番の原因は「会社の文化」であり、二番目の原因は「業務内容」です。

例のごとくSIerで考えてみましょう。

まずは「業務内容」からです。

まずSIerは構造的に長時間労働になりやすい環境です。

1ヶ月人ひとりを動かすのに決まったお金をもらう、という人月商売なので、人が稼働すれば稼働するほど、会社は儲かります。

1MM(1ヶ月の人ひとりの工数)分の予算で、2ヶ月分の労働時間を投入してくれる人間がいたほうが会社は得するからです。
会社が得する構造とはすなわち、プロジェクトマネージャーが得する、ということでもあります。

プロジェクトマネージャーはプロジェクトの進捗が正しく守られているかで評価されます。
進捗を守るために人を投入するよりも、人を2倍働かせるほうが簡単です。

なので部下にプレッシャーをかけ、とにかく馬車馬のように働かせるマネージャーの方が出世しやすいのです。

つまり、SIerのプロジェクトマネージャーには「部下にプレッシャーをかけ長時間労働させるインセンティブ」があるのです。

もちろん、中には部下思いの良い上司もいます。
ですが、部下思いの上司であればあるほど、本人が死ぬほど残業して帳尻を合わせる傾向にあるのも事実です。

また、成果物が「ドキュメント」の仕事は労働時間が長くなりやすいです。
ドキュメントの作成には終わりがないからです。

残業の文化によって、業務量が増える仕組み

さて、業界の構造的にSIerは長時間労働が是とされやすいと論じてきましたが、それよりも大きいのが「文化」の影響です。

労働時間が長い会社には「長時間労働を正義」とする文化があります。

会社の文化は「多数派」が形成します。

「成果を出すためには死ぬ気で働いて当たり前」と考える人が多数派であれば、社内の空気は長時間労働に染まります。

この社内の空気に個人が立ち向かうのは不可能です。
立ち向かっても居づらくなって辞めるだけでしょう。

時間通りに仕事をしようとすると

「なんでもっと頑張らないんだ?」

と詰められます。

また定時で帰宅していると「あいつは仕事に余裕があるな」と判断され、次々と仕事を振られるようになります。

そういう文化なので、中の人は仕事が早く終わってもダラダラと残業し、「周りの空気」に合わせようとします。
仕事を振られてプレッシャーをかけられるよりも、忙しいフリをして残業したほうが楽だからです。

相互監視によって、社員には「会社に居残る」方向にインセンティブが働くわけですね。

SIerの社員の多くが

「やー仕事本当にキツいっすよ」

「今月の残業やばいっすよ」

などと自分の仕事のハードさをアピールする理由も同じところにあります。

自分が「長時間労働の文化」に適合した人間であることのアピールであり、「もう新しい仕事を振るな」というSOSでもあるのです。

残業時間をアピールすることで、会社に貢献している自分を再確認しているのです。

SIerの仕事はなぜつまらないのか?中の人が真剣に考えてみた

「長時間労働の文化」と「パワハラ体質」はセットである

ここまで読むと気付いたかもしれませんが、パワハラ体質と長時間労働の文化はセットです。

好き好んで長時間労働する会社員はいません。
多くは「マネージャーからのプレッシャー」によって、ストレスを感じながら長時間労働に勤しみます。

マネージャーは部下を働かせるためにプレッシャーをかけようとします。

裁量労働で残業代ももらえないのにわざわざタダ働きするのは、マネージャーが怖いからです。
マネージャーが怖くないと、部下は残業しません。

そうなるとマネージャーは必然的に、パワハラ気質に近づいていきます。

パワハラは本人の気質であり、会社の文化によって育まれるものでもあります(パワハラ云々を論じるのは「弱い労働者」みたいで気は進まないのですが)

上司にプレッシャーをかけられて育てられた会社員は、部下にプレッシャーを与えるようになります。
そういう仕事のやり方が正しいと思い込んでいるからです。

長時間労働の文化やパワハラ気質は上から下へ、世代を超えて受け継がれていくのです。

部下の長時間労働に頼り切ったマネージャーは己の無能を自覚するべし

SIerでドヤってるプロジェクトマネージャーには「部下を長時間働かせること」を前提とした奴がとても多いです。

そもそも業務時間内に終えられないスケジュールでタスクを詰め込むマネージャーが無能なのです。

仕事が大好きなプロジェクトマネージャーは余計なレビューだの報告だのを詰め込んで、とにかく部下の負荷を高めようとします。

「品質のため」

といえば何でも許されると勘違いしているのです。

何事においても、30点を80点にするまでのコストよりも、95点を100点にするコストのほうが高いのですが、「仕事が正義」と信じてやまないプロジェクトマネージャーは「全てにおいて100点」を求めます。
意味があってもなくても、です。

そういう上司にあたってしまったらどうしたらいいか?

答えは一つです。
転職活動を始めましょう。

転職活動は心の支えになります。
選考が一つ進むごとに、暗いトンネルの出口が近づいてきているような気持ちになれます。

転職活動にある程度慣れてきたら、見切りで退職相談してもいいかもしれません。

部下の長時間労働を前提としているプロジェクトはそもそも引き継ぎメンバーが見つからないので、引き継ぎ自体ものんびりと進みます。
2ヶ月後くらいを退職日に設定して、有給を消化しながら転職活動を終わらせましょう。

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