SIerといえば残業です。
私も覚悟して入社していましたが、とにかく労働時間が長い。
SIerでも「働き方改革」のようなものが叫ばれるたびに形だけの労働改革が行われます。
労働時間の指標を出したり、早帰りできる日を作ろうとしたり、なんか色んな施策が作られますが、ことごとく消えていきます。
労働状況を改善する施策がことごとく潰されていくのは、「働いている人間が偉い」という暗黙の了解があるからです。
10人中4人が生産性を上げて早帰りしたとしても、長時間労働する6人の声が大きくなり、定時で帰る「サボっている」ように見なされ、だんだんと気まずくなってまた長時間労働に戻っていきます。
「早く帰ると気まずい空気」が消えない限り、働き方改革なんてできないのです。
その背景にあるのは、「企業の文化」です。
残業は美徳という文化が根強い
残業は文化です。
生産性でもなく、社員の優秀さでもなく、文化です。
どんなに優秀な人間が集まろうと、「残業が大好き」な文化の会社に行くと残業が長くなります。
社員の頭の中に「この会社の労働時間は平均するとこれくらい」という暗黙の了解ができるのです。
「暗黙の労働時間」は「会社の多数派」によって作られます。
20時まで働くのが当たり前の会社では、仕事の量に関わらず
「20時まで残って妥当なところで切り上げる人」
「22時まで残って頑張っている風に見せる人」
が出てきます。
「20時まで残るのが当たり前の会社」では、社員が20時までいることを前提として会議などを詰め込まれます。
たとえ仕事がなくても「20時」まで残れるように、何も生み出していない無駄な会議が時間が増えていきます。
SIerには「社員が遅くまで残るのが当たり前」とする文化があります。
この文化は永遠に消えません。
文化は継承されていくからです。
世の中がどんなに変わろうと、SIerの労働時間は長いままなのです。
「残業文化説」に対して「そんなわけないだろ」と反論したくなる人もいるかもしれませんが、自社の雰囲気・空気を感じ取ってみてください。
「帰りづらい空気」を感じたら、そこにあるのが「文化」です。
成果が見えにくいから労働時間でアピールしようとする
SIerの業務は一人で完結するものは少ないです。
大手SIerのプロパー社員であれば特に、実作業はパートナーに投げて、Excelを開いて管理しているだけの人がほとんどでしょう。
そういう人は実際に何かを生み出しているわけではありません。
一生懸命管理しています。
やることがないのです。
なので、無駄に会議を入れたり、遅くまで働いて「チームに貢献している感」を出そうとします。
いいから帰れよ、とは誰も言わないのです。
パートナー企業の「監視」として居残る
「パートナー企業のメンバーが働いている限り、社員は見守らなければならない」という謎の発言をしていたPMがいました。
分業して任せているんだったら、自分の仕事が終われば帰ってもいいだろうし、社員が帰らないとパートナー企業も帰りづらいだろうとは思いましたが、PMの立場からすると、社員が監視してパートナーが馬車馬のように働いた方が都合が良いのでしょう。
「社員が帰るのは最後。
パートナーの連絡には夜でも朝でもすぐに反応すること」
みたいなルールを作ろうとするPMがいました。
そんなプロジェクトでは当然、誰も帰らないので労働時間が長くなります。
残業前提の計画
労働時間が長くなって嬉しいのはPMです。
そもそもが無茶苦茶なスケジュールを組んでいて、計画時点で破綻しているのです。
社員、パートナー企業に毎日2MD分働かせて、スケジュールの辻褄を合わせるようなプロジェクトが大量にあります。
「計画通りに進んでいます」
の裏には、2日分働いている人間がいるのです。
半年以上かけ、たくさんのレビューを経て承認された計画は、プロジェクト開始後2ヶ月でデスマーチになります。
何のための計画だったのか。
何のためのレビューなのか。
くだらない!
プロジェクト開始2ヶ月で狂う計画を半年かけて作り、数字遊びの見積もりを出し、
「論理的に正しい!数字が命!(ただし労働時間の“数字”は無視)」
と誇らしげに「マネジメント」を語る。
SIerはそんな連中ばかりです。
資料作りに終わりがない
以下の記事に書いた通り、SI社員の業務は「作家」です。
資料の「執筆」には終わりがありません。
どこまでも時間をかけられます。
作った資料は厳しい「レビュー」を通さなければなりません。
このレビューはとにかく色んな人が色んな視点からいちゃもんをつけてきます。
指摘が来るたびに資料を修正しなければなりません。
指摘の対応が面倒なので、一生懸命資料を作る。
一生懸命作った資料だろうと、指摘しないと自分に価値がないと考える人もいるので、とにかく何か指摘を入れる。
資料作成→レビュー→指摘対応→資料修正→レビュー→指摘対応
というような、資料の執筆に1ヶ月の半分くらいの時間が取られます。
資料の執筆に加え、「報告書の執筆」にも時間を取られます。
細かくて面倒くさいPMは報告コストが高いです。
いちいち詳細な報告資料を作り、逐一何かを報告しなければいけません。
細かくて面倒くさいPMは小学生並みに馬鹿なので、
「なぜ?どうして?詳しく報告しろ」
みたいな感じでとにかく1から10まで報告させようとします。
別に報告自体はいいとは思うのですが、いちいち1から10まで報告するためには準備が必要です。
「システムの中身は知らないけどプロジェクトマネージャーです」
みたいな奴に限って、細かな報告を求めます。何の役にも立たないのにです。
そういう奴に報告するために、多大なる工数を取られます。
「大規模プロジェクトのPMをやってきました(ただし技術知識は女子大生以下です)」
みたいな奴はそういう傾向が強いです。
他人を詰めないと自分の存在意義を証明できないから、とにかく細々とやらせようとするのでしょう。
権力を誇示したいアホです。何もできないくせに偉そうなPMはアホです。
わかりました!
では私は辞めます。お前が代わりにやってください、と言うと何もできません。
伝言ゲームに時間がかかりすぎる
SIerの本質は伝言ゲームです。
作業を細かく分担し、それぞれの作業状況を報告して共有します。
人数が増えれば増えるほどコミュニケーションコストは上がります。
状況の共有であったり、内容の報告、作業の調整に時間がかかるのです。
SIerでは一つのシステムを開発するのに膨大な人数の人が関わります。
その人達との作業の調整であったり、状況の共有だったりをするためには連絡が必要です。
会議を入れることもあるでしょう。
人数に比例して「定例」は増えます。
定例が増えると報告業務が増えて、報告を理解する時間も必要になります。
報告を受けて、まとめて、また上に報告してというエスカレーション伝言ゲームは何も生み出さない割に多大なる時間を浪費してしまいます。
「関わる人数が多すぎる」
これがSIerの労働時間が長くなり、生産性が落ちる理由です。
一人ひとりの専門性を高め小さなチームを作るのが解決策ですが、SIerの社員の大半に専門性はないので、チームは細かく分けざるを得なくなります。
アプリケーション、基盤のように水平に分業するだけでなく、アプリケーションの中でもリーダー、下請け、下請け、下請け…と垂直に分業されていて、分業が多くなればなるほど、生産性は落ちます。
無駄な調整に時間が取られます。
とりあえず会議
SIer社員は会議が好きです。
何かあればとりあえず会議を入れようとします。
たとえば「会議は午前中にまとめる」とかの配慮があれば「午後は開発に集中」のようにできますが、そういう配慮ができる人はいません(私はそうしていました)
開発者の気持ちがわからないし、生産性を考える人がいないからです。
何かがあれば会議を入れようとして、一度設定した定例はなかなか消せません。
会議を入れるのは簡単ですが、会議を無くすのは難しいのです。
気付けば一日が会議で埋まり、一週間の労働時間のほぼ全部が会議になっていたりします。
色んなプロジェクトに顔を出す「偉い人」は隙間があれば会議を入れられ、その人の予定を抑えるために「会議を入れるスペースを探す作業」に時間が取られたりします。
「会議は最低限の人数で、必要な時間だけ参加する」ようにすればいいのに、とにかく根性で、最初から最後まで、全員が聞く、みたいなスタイルで進捗報告会議をやってる人がけっこういます。
そういう「全員参加で発言しない会議」で大事な作業が中断されたり、労働時間を削られている人がたくさんいます。
会議で何か問題が解決すると考えているなら改めるべきだし、そもそも
「会議しなくても状況が共有できる形の仕組みを作る」
方向に注力すべきなのです。
そういう当たり前の努力ができず、思考停止で前例踏襲しているので、SIerの残業時間はいつまで経っても減らないのです。
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