大規模システム開発が楽しくない理由

SIerでの大規模開発がつまらない、という人はたくさんいますが、なぜでしょうか。

同じ大規模開発でも、GAFAやメガベンチャーの大規模なシステムの開発はやりがいがあって、SIerがつまらない理由はなぜでしょうか。

まず、仕事がつまらない理由はいくつかに分解できます。

  • 関わるプロダクトがつまらない
  • 開発のプロセスがつまらない
  • 働いている人間がつまらない

1つ目の「関わるプロダクトがつまらない」というのはSIer以外でもありえます。

Twitterを見ていると、Googleを退職した人が何人かいますが、Googleはメンバーも素晴らしく、勉強にもなった。
しかし開発するプロダクトがクソだったからやめた、という人が何人かいました。

つまり、開発担当となった製品が意にそぐわないパターンの「つまらない」はSIerに限らずありえるということです。

ゲームに興味がないのにソーシャルゲームの開発をしている人なども同じようなものでしょう。

ただ、SIerの「つまらない」はプロダクトがつまらないのもありますが、それ以上に「プロセス」や「人間」に起因するものが多いのです。

もちろん、SIerが開発するプロダクトはお世辞にもモダンなUIとは言い難く、誰のために役に立っているのかが見えづらいものが多いです。

「社会的な意義がある」と言いながら、誰からも使いづらいと思われるようなアプリケーションを提供していたりします。

まぁ、SIerにいる以上、「プロダクトに魅力を感じにくい」のは仕方ないです。

新規開発ならいいかもしれませんが、保守・エンハンスの業務では絶望的です。

それはさておき。

プロセスと人にはどんな問題があるのでしょうか。

開発プロセスが楽しくない

SIerの多重下請け構造がたびたび話題に上がりますが、SIerでの開発はとにかく関わる人数が多いです。

一次請け、二次請け、三次請け…とたくさんの人が関わっていくため、必然的に報告・資料・会議が多くなります。

人間は頭を使って何かを生み出す作業は楽しめるようにできていますが、定型的な報告資料を作ったり、進捗を聞くだけの会議を楽しめるようにはできていません。

ですが、SIerは業界の構造的に会議を増やさざるを得ません。

つまらない会議をしないと、下請けの作業状況を確認できないからです。

また、SIerの社員は自分で物を作れません。
技術がないからです。

自分で物を作れない人であっても、何もしないわけにはいきません。

SIerの中には仕事しないで寝ていてくれた方が仕事が早く進むような人もたくさんいます。

ですが、人間は「仕事を作らないと自分の存在意義を感じられないもの」なので、寝ていて欲しい人も仕事を作り出します。

つまり、「プロダクト自体になんら良い影響もない偉い人に承認をもらうためだけのレビュー会議」が大量に発生します。

これが非常に楽しくないのです。

少数のチームであれば、「プロダクト全体の中の、こういう機能を作っていこう」と話し合えば済むレベルの開発なのに、大げさなパワーポイントを作り、大げさなレビュー会議を経て、計画を立て、下請けに進捗管理資料を作らせ、投げる。

その間、何も生み出していません。

頭も使いません。

必要なのは、工数パズルを解くスキル、周りと調整するスキル、報告スキル、指摘を反映して何度もレビューをやり直す根性です。

その間、何も生み出していません。

頭を使わない。

不毛な会議や調整、資料作りに莫大な時間を取られてしまう。

長時間働いても成長実感がない。

このような「愚鈍な開発プロセス」がSIerの大規模開発が楽しくない理由です。

周りの人が楽しくない

SIerの人間は物を作りません。

多くの人は技術にも興味がありません。

SIerの人たちの興味関心は、「誰が、どれだけ大きな工数のプロジェクトを担当したか」です。

飲みに行ったときに仕事の話になることもあるでしょう。

あなたが大学生であれば、社会人は飲みの席では目を輝かせて未来の話をするかと思うかもしれません。

しません。

一番多いのが、

「あのプロジェクトでは毎月100時間残業していた」

「朝6時から会議を入れられていた」

みたいな、「残業自慢」です。

あとは「人の噂」

誰が出世したとか、社内の何とかさんが何をしたとか、そんな噂話をします(興味がないので全く覚えてません)

新しい技術の話とか、こんなプロダクトを作りたいだとか、そういうキラキラした希望のある話はありません。

私にはそれが残念でなりませんでした。

SIer社員の残業自慢ほどくだらないものはない

中でも苦痛だったのが、「残業自慢」を聞かされたときです。

無能の証明をして何が楽しいのでしょうか。

「寝ないで働いた」

…だからどうしたんだ?

努力を認めてほしいの?

自虐したいの?

たくさん残業された話をされても、正直反応に困ります。

「残業が増えかけたから、こういう対策を取った。その結果、チームメンバーが定時で帰れるようになった」

みたいな話だったら面白いのですが、「根性で乗り切った!俺はすごい」みたいな話をされると冷めますよね。

「え、残業が辛いなら、解消するために何か頭を使ったの?」

と聞きたいのですが、

「残業しまくった俺は偉い!」

が前提にあるので、業務を改善しようとしないんですよね。

結果、

「残業している俺すごい!」

「俺も残業する!」

「俺はもっと残業する!」

という脳筋が次々と増殖していって、どんなに働き方改革をしようとしても有形無実化します。

大手SIerの社員は自分で何かをするわけではないので、「労働時間」でしか自分の成果を語れないのです。

時代錯誤な開発スタイル

SIerの時代錯誤な開発スタイルも問題です。

大手SIerの開発は2000年代初期から全く変わっていません。

時代は進み、世の中には様々な技術が生まれています。

ですが、時代が進めば進むほど、SIerとの乖離は大きくなります。

  • Dockerは使わない
  • 自動テストは書かない
  • 開発言語はCOBOLかJava
  • メモリ4GBのWindowsパソコンしか使えない(Macを選べない)
  • バージョン管理は「採番(ファイル名_20210214)」
  • リリースは手作業
  • 謎の自社クラウド
  • 開発環境の容量が足りない
  • Excelと秀丸縛りの開発

みたいな、今どきちょっと信じられないようなスタイルで開発が進められます。

余談ですが、SIerでは家で使っている私用PCよりもまともなスペックのパソコンを与えられたことはありません。
選択肢にもありません。

こんな中でExcelとPowerPointだけいじり続け、給料は上がるものの何のスキルも身に付かず、市場価値と年収がかけ離れていき、転職できなくなります。

だからSIerに長く居続けるのは危険なのです。

楽しくない業務に平日10〜16時間も奪われて、毎日ストレスを溜め続けて何の名前も残らない。

そんな働き方、何歳まで続けるつもりですか?



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