なぜ大企業の会社員は意識ばかり高くなるのか?

「意識が高い学生」というと、ベンチャー企業にインターンシップに行って、崇高な目標を語り、仕事に人生を捧げるかのように生きようとする青い若者を指す。

10年ほど前は意識が高い学生はメガベンチャーでも目指すようなイメージがあったが、実際は意識が高い学生はネームバリューのある大企業に入りたがる傾向が強い。

意識が高い人にとって大切なのは上辺のイメージなので、キラキラ大企業を目指すのは必然なのだ。

さて、記事のタイトルは「なぜ大企業の会社員は意識ばかり高くなるのか?」である。

私は社員数10000人を超える大企業で働いてきた。

中にいる人間は大した仕事などしていないが、意識だけはものすごく高かった。

いつも綺麗で崇高な目標を掲げていた。

学校に通ったり、資格試験の勉強をたくさんしている人もいた。

とにかく意識が高かった。

一方で、ベンチャーであったり、外資系であったり、比較的歴史の浅い企業で働いている人たちは、いちいち意識の高い発言などせず、とにかく行動と実践の人生を送ってきたように見える。

何が違うのか?

大企業社員は仕事ができないので、意識を高くするしかない

大企業社員は仕事ができない。

ここでいう「仕事ができない」とは、個々の能力が低くて仕事が進まない、という意味ではない。

大企業の仕組みの中では個人の仕事の大半は無駄になり、世の中に価値を生み出す“仕事”ができる余地は少ないということだ。

逆に言えば、大した価値を生み出さなくても雇用は維持されるし、勝手に給料は上がっていく。

それだけの余裕があるということだ。

大企業の中にはくだらない会議やつまらない資料作りなど、仕事をやっているように見せるための作業が大量にある。

くだらないおっさんに、つまらない資料をダラダラと説明して、毎日毎日退屈な作業で時間を潰している。

大企業に入社してきたのは意識が高い若者が大半である。

そんな彼らの意識を受け入れるような土壌は大企業にはない。

大企業にとっての若手社員は育成対象でもあり、都合の良い雑用でもあるのだ。

自分で積極的に動いて、世の中に働きかけて、何かを生み出して、仕事の成果を残したい───

そんなことを考えている意識高い若者は、大企業で新しいものを生み出すためのハードルの高さに絶望する。

そして中に入ると、中の人間がとにかくくだらない作業で時間を潰していて、何も生み出していないことに気付き、再び絶望する。

そうやって仕事がしたくてもできない若者は、意識を肥大化させていく。

ある若者は諦めて「給料がもらえればいい。人生は業務時間外で楽しむ」と諦観し、ある若者は社外のコミュニティに参加して肥大化した意識を放出できる場所を求めていく。

オンラインサロンやYoutubeでの大学(笑)が流行っているのはそういった背景もあるのではないか。

高学歴で、ピカピカの大企業に入った人たちは、高い意識を発散させる場所がほしかったのだ。

オンラインサロンの存在意義

会社員でオンラインサロンに参加している人は多数いる。

私の会社にいた人は箕輪編集室に入って、謎のタダ働きをしていた。私には理解不可能だったが、彼は楽しそうにしていた。

意識が高いメンバーに囲まれて幸せなのだろう。

本来であれば、意識が高い若者は本業である会社の仕事を通じて能力を発揮していくべきではないか。

なのに、本業がクソくだらなすぎて、オンラインサロンで「仕事」するしかないのだ。

くだらない本業はもはや治療不可能なほど腐りきっていて、何かを変えるには若手社員はあまりに無力だ。

何より、仕事をしないジジイが多すぎるのだ。

仕事をしないジジイは偉そうで、偉そうなジジイを説得するには大変な手間がかかり、その大変な手間のほとんどは、「ジジイが馬鹿だ」という理由で費やさなければならない無駄なものである。

もっとフットワーク軽く、企画して、仕事を作って、何かがしたい。

そういう想いを実現する場として、オンラインサロンを使っているようにみえる。

そしてオンラインサロン上の「教祖」はそういう想いを利用して、タダ働きさせて儲けを出している。

大企業社員は元々は能力が高かった

2020年以降はわからないが、2010年代に大企業に入る若者は総じて能力が高かった。

倍率が高く、難しい面接をくぐり抜けての入社である。

皆、基礎能力が高く、よく勉強して、真面目で、覚えが早い。

大企業にいる社員は元々は能力が高い人達なのである。

能力の高い人達が無意味な出世競争に精を出したり、何も生み出さないクソくだらない業務で使い古されて、30代、40代になる頃には使い物にならないダメ人材に落ちぶれてしまっているのだ。

大企業はくだらない無価値な業務が多すぎて、意識の高さに実力が追いついてこない。

無駄な業務をどんなにうまくできるようになっても、無駄を素早く生み出すだけだ。

実際に何かを生み出している人の発言は常に具体的である。

具体的な問題を解決しようとする。

具体的な問題を解決する人は、意識を高くする必要などない。

常に目の前の問題に向き合っているので、意識だけ高くしても意味がないからだ。

大企業の社員は問題を解決しない。調整する。

発言は抽象的で、政治的だ。

大企業の若手社員は自分たちの業務の大半が無意味であることを理解している。

なんでこんな無駄なことばかりやっているんだろうと疑問を抱いている。

だからといって、良い待遇を捨てて転職はできない。

悶々とした不満を抱えて、意識だけは高いまま、選民意識をこじらせて、今日も無価値な仕事に膨大な時間を費やしている。