本当に優秀な社員は愚痴を言わずに会社を変えるのか?

世の中には“もっともらしいこと”を言う人がたくさんいます。

「本当の○○な人はXXしない」

「真の○○な人はXXである」

みたいな、先頭に「本当の」とか「真の」をつけて何かを語る人には注意が必要です。

たいていの場合、本人は深く考えずに何かを断定しています。

「本当に優秀な社員からはグチが出ない。なぜなら、真に優秀であれば会社そのものもを変革するから」

などと本気で考えているのでしょうか。

優秀な人が愚痴を言わないのはある程度真実味があります。

ですが、優秀な人だろうと会社そのものを変えることはできません。

ちょっと優秀なくらいで会社を変えられると思っているのであれば、勘違いしすぎでしょう。

ツイート主の方はSIerにお勤めのようですが、今までに関わってきた優秀な社員を全員思い出してみてください。

誰か会社を変えた人はいましたか?

いないでしょう。

優秀な社員が一人や二人いたところで会社を変えることなんてできません。

社長がトップダウンで大号令をかけて、ほんのわずかに会社に制度が変わる程度です。

会社は変わりません。

人数が多ければ多いほど、会社は変えられません。

「会社を変えられる」なんて考えている時点で「真に優秀な社員」ではありません。

頭が悪いからです。

真に優秀な社員は、会社を変えられないことに気付いて、身の振り方を考えます。

会社を変えられないから、自分で会社を作る。

会社を変えられないから、不満のない会社に転職する。

会社を変えられないけど、今の会社での身の施し方を工夫して自分の利益を最大化する。

これらが優秀な会社員の振る舞いです。

「会社を変える」というのはプレイとしては悪くありません。

何かを変える運動は楽しいですし、やりがいも感じるでしょう。

周りからも一生懸命頑張っているように見えるし、評価されるかもしれません。

ですが、「会社を変えること」を目的にしている時点で無駄です。

優秀な人は会社ではなく市場を見ます。

内側にばかり目が向く人は優秀とは言えません。

「会社を変える」のは目的ではなく手段なのです。

SIerはなぜ買われないのか

この記事ではたびたびSIerを話題にしています。

SIerは近年、変わろうとしています。

具体的には、以下のような活動を行っていました。

  • レガシーなシステムの刷新を行う
  • アジャイル開発を取り入れて素早く開発する
  • 新しい開発手法を取り入れる

ですが、これらの活動はうまくいっているとは言えません。

レガシーなシステムの刷新は、COBOLのシステムをCOBOLで書き換えるようなものばかりですし、アジャイル開発をやろうとしても、大規模開発ではだいたい失敗しています。

そもそもSIer社員が手を動かせないので、アジャイル開発の文脈においてはやることがないのです。

研究開発的に、新しい開発手法を取り入れようとする動きもありましたが、どれもうまくいきませんでした。

新しい手法を取り入れるには勉強が必要ですが、そんな勉強をしている暇はないし、SIer社員の常識が時代と乖離しすぎていて、キャッチアップできないからです。

「会社を変える」とは、「人が変わる」ということです。

中の人が変わらないと会社は変わりません。

ですが、SIerは以下のような制約に阻まれて、変革ができないままでいます。

  • プロパー主義で人材の新陳代謝がない
  • 中途入社を通じた技術の流入がない
  • 終身雇用主義で、自社の文化が根強く受け継がれてしまう
  • 年功序列で頭の固い人間がレビューして意思決定するため、新しい文化が取り入れられない
  • 中にいる社員が新しい技術を学ぶ暇がない
  • 新しい技術を取り入れる判断ができないし、そもそも勉強不足で思いつかない

要は、新しい考え方を取り入れる土壌がないのです。

日本のSIerはアクセンチュアのやり方を学べ

転職活動の際にアクセンチュアの人から話を聞きました。

アクセンチュアの話を聞いて、日本のSIerはもう勝てないんじゃないかな、と思いました。

アクセンチュアではウェブ系企業と同じで、基本的にはアジャイル開発を行っているそうです。

プロジェクトの中で小さなチームを作り、それぞれのチームでアジャイルに開発を進めていく。

コミュニケーションはSlackで、Slackのbotを使ってリリースを行います。

使っている技術はVue.js、React、Kotlin、Swiftなど、モダンなものです。

CI/CDも回しています。

私が所属していた日系SIerでは決して取り入れられなかったものです。

なぜアクセンチュアがこのように変われたのかというと、一つは買収文化。

チームごと買い取って、新しい文化と技術をimpotするのです。

もう一つは人材の新陳代謝。

「変わりたい方向」にいる人材を中途で取って、変われない人材を退職させることで、企業内での「脱皮」を促します。

年功序列ではなく、成果を出した人がポジションアップしていくので、新しい技術で高い生産性を発揮した人が意思決定に携わりやすくなります。

年を取っているだけで会社に居座り、何のスキルもないのに偉そうに意思決定に顔を出してくる日系SIerとは大違いです。

日系SIerも変わりたいのであれば、アクセンチュアのスタイルを見習うべきでしょう。

解雇規制を撤廃し、ジョブ型の雇用を取り入れ、何の専門性もないジェネラリストの育成を辞め、偉そうな中高年をクビにしなさい!

偉そうな中高年をクビにして、役職を下げ、権力を奪えば日本企業は「本当に」変われます。

優秀な社員がどう頑張っても会社は変わりません。

会社を変えるには「人が変わっていく仕組み」が必要なのです。

日系SIerには変わるための仕組みがありません。

それどころか、頭の悪い爺さんが意思決定を牛耳っており、変化を阻むような構造になっています。

だから変化がないのです。

変化もないし、変化させることもできないので、「本当に優秀な社員」はさっさと見切りをつけて、SIerを辞めていくのです。



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