【書評】『動かして学ぶ!Python Django開発入門 』は意欲作だが読者が置いてけぼりになっている問題作でもある

『動かして学ぶ!Python Django開発入門』はDjangoを動かしながら実際にウェブサービスを作り、AWSにデプロイするまでの過程を紹介している。

取り扱う範囲は非常に広く、意欲作であるともいえる。

しかし、意欲ばかりが空回りして解説がおざなりになっているのはいただけない。
著者の独りよがりな性格が出ているともいえる。

たとえばChapter7でbase.htmlを編集する時。
blockタグを唐突に使っているが、このblockタグの説明はChapter3でサクッと説明されていただけで、流されてしまう。

{% load static %}について、「loadタグを使いstaticタグを使えるようにしています」と解説しているが、いやいや、だからstaticとかloadとかさ、3章で表にしてまとめてあるだけだったら忘れるんだわ…。

またBootstrapを使っているのもいいが、解説が

「Bootstrapのフォーム用クラスform-controlとplaceholderを追加しています」

と書いてある程度で、「form-controlがどのような機能で、なぜ使っているか」などの解説はない。

この本を読んでもサンプルをなぞるばかりで、実際にWebアプリを自分で作れるようになるかは疑問が残る。

「なぜそうなるのか」の解説が貧弱すぎるからだ。
ただ動くプログラムが見たいなら、GitHubでも眺めていればいい。

「はじめに」では「本書を執筆するにあたり特にこだわったのは『なぜそのようにコーディングするのか』がわかるよう、コードにできる限り注釈を入れた点です」と書かれている。

コードの注釈に書くべきなのはwhatではなくwhyである。

なぜ、そう書いたのか。
whatはコードを見ればわかるから別にいらない。

こんな感じで、明らかに「入門」とはかけ離れた感じで、著者の意識だけが駆け抜けていき、読者が置いてけぼりになるような本である。

そもそもの違和感は「はじめに」からあった。

「さて、本書には一人でもサクッと会員制Webアプリを作って運用まで行うという隠れテーマが存在します」と書いてあったが、「はじめに」で書くなら何も隠れてなくないか?

なんだか独りよがりな本である。

正直、Djangoだけでなく、AWSやBootstrap、seleniumにまで言及してあって、本書の期待度は高かった。
しかし手を広げすぎてしまい、全ての解説が浅く、読者に寄り添っていない本になっているのは残念だ。

著者の大高隆さんはきっとものすごく優秀で能力の高い人なのだと思う。
だからこそ、もう少しわからない人の気持ちを理解して、また別の本を出版してほしい。