感謝のプログラミング 10000時間

たどり着いた結果(さき)は、感謝でした。

「賃貸とマイホームはどっちが得なのか」の結論。

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「臆病者のための億万長者入門」という本を読んで、モヤモヤとしていた話が自分なりに腹に落ちたので、紹介したいと思います。

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

臆病者のための億万長者入門 (文春新書)

「家賃分を払い続けるのはもったいない」という話

友人の中で、マンションを購入したり、持ち家を購入する人がチラホラと増えてきました。
30歳というのは、不動産を購入する際の節目となる年齢でもあるのでしょう。

家を買った友人は、家賃を払い続ける人に対して、こう言います。

「家賃を払い続けるなら、最後に自分のモノになるように、家を買ったほうがいいじゃないか」

不動産業者の人も皆、このような謳い文句で家を売っています。

「家賃と同じ額を支払い続けるだけで、もっといい部屋に住めます!そして将来は夢のマイホームですよ!」

と。

さて、本当に家を買ったほうが得なのでしょうか?

「得である」というのは、個人として「利潤が最大化する」ということです。
では、利潤の最大化を目的としている企業はなぜオフィスを賃貸で借りているのでしょうか、という話になります。

個人よりも法人の方が、ずっとリスク耐性が高く、かつゴーイングコンサーン(going concern)を前提としています。
買ったほうが絶対に得なら、どの企業も必ず賃貸マンションではなく、ビルを購入するはずです。

でも、現実にはそうじゃない。

個人だったら得で、法人だったら損ということは考えられません。
では、マイホームを買う(=不動産を買う)というのはどういうことなのでしょうか?

これは言うまでもなく、「不動産投資をする」ということです。
実際、投資する先は、不動産だけでなくてもいいわけです。

たとえば、2400万円分の資産を持っているとします。

「家賃を年に120万円も払うのは損だろ?」

と言われたと考えます。

そういうときは、2400万円分、年5%分の配当のある株式を買った場合、年間120万円分の配当が得られますので、実質家賃負担はゼロになります。

持ち家を買わない場合、1000万円の貯金がある個人のバランスシートは以下のようになります。

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住宅ローンを組むと、借金の分だけ資産が大きく膨らみます。
以下のようになります。

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つまり、ローンを組んで持ち家を買うということは、借金をして不動産に投資をしていることに他ならないのです。
地価が下落すると、その分バランスシート上は「損をする」ことになります。

「毎月、賃貸と同じ額を支払うだけで、賃貸よりも良いマンションに住める」

という勧誘がありますが、これは、「借金している分だけ、投資収益が増え、広い家に住めるようになる」と言い換えることができます。
もちろん、その分リスクがあるということです。

仮に今は家賃10万のマンションに住んでいるとします。

借金して株式に同じだけ投資して、月に15万円分(年間180万円分)の配当があるとすると、その分を家賃に回せば、25万円の家に住むことができます。
マイホームを購入するというのは、これと同じことです。

「借金をして投資している」と発想を変えることで、マイホームについてバランスシートで考えることができます。

そう考えると「マイホームを購入する」ということは、別に得ではないということがわかりました。
「マイホームを絶対に買った方がいい」という神話が作られたのは、戦後の高度成長期です。

このときは、地価は右肩上がりで、借金をして不動産投資をすれば、ほとんどの人が得をしていました。
現代では、地価が必ず上がることは全く保証されていないので、損することの方が多いと言えそうです。

マイホームの価格は、

不動産価格 = 毎年の賃料 ÷ 金利(割引率)

で求めることができます。これを収益還元法と言います。
日本ではリスクプレミアムを加味した不動産の割引率は5%程度とされているようです。

毎年180万円の家賃収入が入って、割引率が5%の場合、その不動産は3600万の価値があると言えます。
賃貸を借りる場合は、その周辺の不動産価格から逆算して、

不動産価格 × 割引率 = 年間賃料

を求めます。
それで、提示されている賃料より割安か割高かを計算するといいでしょう。

最後は話がそれましたが、マイホーム購入=不動産投資で、損するか得するかは物件の価値が上がるかどうか次第であるということがわかりました。
そして、市場が効率的であるならば、不動産価格と賃料はどちらかの損得はなくなるハズです。
上の式で書いたように、不動産価格と割引率を掛けたものが年間賃料になるからです。

でも、不動産市場は以下のような理由から、効率的であるとは言えません。

  1. 株式は市場で取引されるが、不動産は相対取引
  2. 株式市場は時価が瞬時に公開されるが、不動産取引では売り手の希望価格しかわからない
  3. 株式市場では特定の投資家だけを優遇できないが、不動産取引では顧客を差別することが当たり前になっている
  4. 株式市場では投資家にすべての情報が公開されるが、不動産取引では最低限の情報しか教えてもらえない
  5. 株式取引の手数料は自由化で下がったが、不動産仲介手数料はいまだに割高だ

上記のような理由から、個人が借金をして不動産取引をするのはある程度のリスクがあると言えます。
逆にいうと、賃貸を借りる場合も、賃料が割高なのか割安なのかを計算することによって、得することもあれば損することもあるということです。

本当の掘り出し物は、不動産業者が買うことは間違いないでしょう。
個人に出回るのはあまりものです。


では、最後に、マイホームを買うことの意味はなんでしょうか?
一つ目は、自分の「なわばり」を持つことの安心感です。
もう一つは、タイムマシンの価値です。

年をとって、子供が成人してから家を持つよりも、今のうちに借金して家を持ちたい

そんな願いを叶えてくれるのが住宅ローンなのです。
そこにはバランスシートに表せない価値があるとも言えます。

だからこそ、合理的な個人は皆、不動産投資に走るのかもしれません。


最後に、冒頭にも書きましたが、この記事は「臆病者のための億万長者入門」を参考にして書きました。

臆病者のための億万長者入門

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こちらはKindleでも出ています。

橘玲さんの本は、世の中の常識とされていることを、ファイナンスの理論を使って論理的にぶった切ってくれるので読んでいてすごく楽しいです。
また、ファイナンスの勉強にもなります。世の中の事象に則して説明してくれるので、教科書を読むより頭に残りやすいので、入門にすごくいいかと思います。

最初は橘玲さんのような本から入って、それからちゃんと教科書を読むといいかもしれません。