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感謝のプログラミング 10000時間

たどり着いた結果(さき)は、感謝でした。

人の行く 裏に道あり 花の山

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SIerの技術力に関する記事はたびたびホットエントリに上がってくる。
その記事の多くは、SI社員の技術力が低いという主旨のものだ。

それぞれの記事は、SIerの組織構造について論じるものが多く、SIerの在り方、組織文化の観点から見た技術習得のインセンティブの低さについて語られている。
つまり、マクロの視点から記事が書かれることが多い。
たしかに組織全体として、SIerが多くの問題を孕んでいることは事実だろう。

でも一旦それは置いておいて、今回は、もう少しミクロな「いち個人の目線」でモノを考えてみたい。


相場の格言にこんなものがある。

「人の行く 裏に道あり 花の山」

お花見で人が大勢いるところを避けて裏道を行くと、花がたくさん咲いている場所に出られたという例え話が由来となっている。
要は、相場では、他の市場参加者と逆の行動をとったり、注目を集めていないことに注目したりすべきだという教訓だ。

これは、個人の在り方にも応用できる考え方だと思っている。

基本的には、人がやらないこと/できないことができる人の方が希少性が高い。
冒頭のSIerの例でいうと、中の人の多くが「技術的な知識が無いマネージャー」なのであれば、「技術的な話ができる人」の希少価値は高いはずだ。

なぜなら、ITの世界で生きる以上、テクノロジーは避けては通れないものであり、仮に協力会社やオフショアに仕事を頼んだとしても、
彼らがやっていることを理解するだけの知識は必ず必要になるからだ。

つまり、個人の目線で考えると、SIが構造的に技術習得のインセンティブが無いからこそ、中の人は技術の勉強をすると得だ、ということになる。
希少価値が高くなるからだ。実際、技術に明るいプロジェクトマネージャーは貴重だ。


さて、次に考えなければならないことは、「"どこで"、希少性が高い人材になるか」というスコープ(範囲)の問題である。
上の例で言うと、「SIの中」で希少価値が高い人だとしても、その視点を広げて、「IT業界全体」という大きなスコープの中で、「技術力を売り出す個人」と考えると、急に激しい競争にさらされる。

技術力が平均的に高いWeb系の企業の人とも競争しなければならないし、オフショアとの競争もある。
そうなると、競争の中で、(自分を売り出す)価格を下げざるを得なくなる。

だから、ミクロの視点でキャリアを考える時は、「どんな市場」の「どの分野」で自分を売り出していくかか、という戦略が大事になると思っている。

「IT業界」の中の「プログラマー」としての市場を考えてみる。

iPhoneアプリが流行り始めると、みんながObjective-Cに習熟したり、Andoroidが流行るとみんなJavaをやり始めたり、
需要が大きいところに人がドドッと流れてくる。

たしかに間口も広いんだけど、そこは過当競争になりがちだ。
自分ができることは、他の人もできる可能性が高いからだ。

家電や牛丼でも同じような価値を持つ製品を売るときは、価格競争になる。
それと同じように、みんながObjective-Cができるようになったら、(同じレベル同士では)価格競争になってしまう可能性がある。

もちろん、超絶レッドオーシャンを勝ち抜いて、どんなところでも使われる技術(たとえばJavaScript)の第一人者になったら、その人はもう引く手あまただろう。
そうなるためには多くの時間を費やし、激しい競争を勝ち抜く必要がある。
これは王者の戦略だ。

一方で、みんながiPhoneアプリやJavaScriptの開発している裏側で、徹底的にセキュリティの技術を磨いていくという作戦も十分考えられるだろう。
Webサービスが拡大する時に、AWSを使って素早くスケールアウトできるような基盤スキルを身に付けるのもいいかもしれない。

このような、ある意味、「隆盛を誇る表の道の裏側」を極めていく戦略も考えてもよいのではないだろうか。
(もちろんセキュリティは誰にとっても大事だが、選択と集中をして、多くの人とは別の分野を極めるという意味だ)

もう一つは、組み合わせで攻める方法がある。
英語ができる日本人プログラマーはたくさんいるけど、フランス語に堪能な日本人プログラマーとなるとものすごく数が限られてくる。

他にも、たとえば、「プログラミングができる会計士」とか、「イラストが描けるブロガー」とか、「占いができるニート」とか、組み合わせによって独自の色を出している例はたくさんあるだろう。
これはどれも、希少価値の高いもので、なかなか代替することはできない。


ことIT技術者に関して言うと、好きな言語、やりたい技術を身に付けるのもとても大事なことだ。
でも、需要と供給を考えて、なるべく競争の緩そうなところ見つけて、ニッチを極める戦略というのも個人の市場価値を考える上でけっこう有効な手法だと思う。