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感謝のプログラミング 10000時間

たどり着いた結果(さき)は、感謝でした。

「古典読んでる俺カッコイイ」とファッションみたいに語る人。

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DSをゴミだと言って炎上したお医者さんの2013/12/26の記事にこんな一節が。

(「永遠の0」は)文庫で350万部以上売れてるそうな・・・。単行本合わせたら一体どれだけの人が読んでるのか(汗)?しかも映画化までされて、まぁ読んで損はなさそうな感じ。でも僕は読まない(多分)。それはなぜか?


最近本屋に平積みされている話題の図書というやつで、「これは名作だ」と思ったことがほとんどないから。正直な話、本をほとんどロクに読んでない現代人がいくらバカスカ買って「面白いっす!」と連呼しても、全くもってアテにならない。

だってさ~・・・湊かなえとか東野圭吾とか伊坂幸太郎とかそういうのが面白い(お金を出しても買いたい)本だって言ってるような人たちでしょ?

ここだけの話、あんな本ゴミじゃん。マジでちゃんと読書しようよ、という感じ。

これは手痛い批判だ(笑)
俺は伊坂幸太郎も好きだし、東野圭吾もけっこう楽しく読んだ。
「永遠の0」は何度も泣いた。

で、このお医者さんは「こんな平積みされてる本なんてゴミだから古典を読め」という。
現代の「売れっ子作家」を指してこう述べる。

このような序文すら現代作家には書くことができまい。売文家はパルプの無駄。逆に植林事業をしておいてもらいたい。

と、『レ・ミゼラブル』を引用。

まぁこの方は燃えるべくして炎上したんだなぁという感じなんだけど、それについてはtopisyuさんなどの専門家が色々と分析してくださっているので言及しない。
※あえてリンクも貼らない(「DS ゴミ はてな」で検索したらたぶん出てきます)

俺が思い出したのは、密かに「古典野郎」と名付けていた大学時代の友達のこと。
そいつはよく本を読む奴だった。

ニーチェとかカントとか、哲学者の本から宮沢賢治夏目漱石みたいな古い日本の作家まで、いろんな古典を読んでは、同じ古典好きな連中と議論していた。
俺は研究室の机に座り、横耳で聞き流しながら、女の子にメールしたり簿記の勉強したりしていた。

古典が歴史の洗礼を経て生き残った、価値のあるものだというのがわかる。
実際に彼らに影響されて自分もニーチェとか色々と読んでみたこともある。
途中で飽きたけど。

でも、この友達がどーーーも薄っぺらいなぁと感じていたのは、読書をファッションみたいに扱っているところだ。

ニーチェ読んで議論している俺カッコイイ。
ケインズの「雇用・利子および貨幣の一般理論」を引き合いに出して語ってる俺、すごい。
カントは「我が上なる星空と、我が内なる道徳法則、我はこの二つに畏敬の念を抱いてやまない」と言った。それについて僕は~(略)

と、だからどうした!とツッコまずにはいられないような議論をしていた。
ツッコまなかったけど、まるで自分に酔っているようだった。
※注)冒頭のお医者さんはよくわからない。あくまで思い出した友人の話。

彼らは皆とても頭の良い人たち(良く見える人たち)だった。

皆よく勉強して、よく読書して、よく議論した。
でも例外なく皆、モテなかった。
だって、面白くないんだもん。

引き合いに出して、ネタにするならわかるけど、「読んでる俺カッコイイ」って自己顕示欲を前面に押し出して、モテるわけないよね。

で、この人達に共通するのは、「古典読んでる俺すごい」「薄っぺらい現代作家読んでる奴はクソ」という割に、古典の良さを伝える努力をしないこと。

たとえば、古典とも言える名著を読みまくってそれがすごく良かったとして。
その書評を千日連続で書いて、それが誰かのためになって、ものすごいページビューを集めたとする。

そういう人(=ここでは松岡正剛さん)は素直に尊敬できるんだよね。
その「古典で得たもの」を誰かに還元しているわけだから。
その知識は、確実に誰かのためになっているわけだから。

読書猿の中の人もすごいと思う。
素晴らしい本を読んで、それをブログやメルマガを通じて世の中に還元している。価値を生み出している。
立派な人で、素直に尊敬できる。

こういう人と対照的なのが「ファッション古典野郎」で、こういう人は現代作家をディスってそれを読んでる人を不快にさせる割に、自分は何も価値を生み出さない。
ディスるだけ。あるいは、「読んでる自分カッコイイ」ってファッションにするだけ。

そもそも「売れる」っていうのは、「市場に評価されているもの」なわけで、お金は「価値の対価」として払われるものなんだよね。
だから、売れてるものをゴミ扱いして切り捨てるよりは、「それがなぜ市場で受け入れられたか」を分析して、よく考えて自分に取り入れるほうがいいと思う。

レ・ミゼラブル 全4冊 (岩波文庫)

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