感謝のプログラミング 10000時間

たどり着いた結果(さき)は、感謝でした。

「勉強がてら」というマジックワード。

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下足番を命じられたら、
日本一の下足番になってみろ。
そうしたら、誰も君を下足番にしておかぬ。

阪急東宝グループ創業者 小林一三

最近下積みの話がブログ界隈で話題になっている。

最初に述べておくと、自分は「下積み」という言葉にそれほどネガティブな印象を持ってはいない。
屈辱的で、けっして面白くはないけれど、それが無意味だとは思わない。

それは、部活の経験からくるものだ。

中学でバスケ部に入った。
1年生は体育館の端っこで、コートにも入れずドリブル練習をひたすらやらされた。

単調なドリブル練習やパス練習。走り込み。
コートの中にいる先輩達を外から見て、悔しい思いをしていた。

でも、自分が試合に出るようになって気付いたことは、基礎が固まっていない人は後から伸びないということだった。
意味があるかわからなかった下積みは、家の土台を作るかのように、自分の基礎を固めてくれていた。
下積みが、後になって生きた経験だった。


コピーを取って何の積み重ねがあるんだ、という意見がある。
たしかにコピーを取ること自体に、何回やっても何も積み重ならないかもしれない。

でも、自分が就活をやっていたときに、企業説明会に来たある外資系コンサルタントは、こんなことを話していた。

コピーの取り方一つで差がつくんだ。
頼む奴によっては、コピー一つでもダラダラやっていたり、角が揃ってなかったり、ホチキスの止め方一つでも気遣いが現れる。
大事なのは、そういう小さなところなんだよ。
上の立場の人間がチャンスをあげたいって思うのは、そういう小さなところで真摯に頑張れる奴なんだよね。

こんな話をかっこ良く話されて、学生だった自分なりに共感した記憶がある。

あと、何の本だったか忘れたけど、こんなエピソードが書かれていた。

偉大な彫刻家が、石像を作っていた。

頼んだ石像がなかなか届かないので、不安になった依頼主が様子を見に来ると、石像はほとんど完成していた。

「石像はもうできているのに、なんで完成したと言ってくれなかったんだい?」
と依頼主が聞くと、

「まだ完成していない。背中の部分が残っている」
と答える。

「そんなところ誰も見やしないさ!どうしてそんなところに君はこだわるんだ!」

偉大な彫刻家は一息ついて、こう答えた。

「誰も見ていなくても、神が見ている」

ホチキスの止め方とか、電話の受け答えとか、細かいところも手を抜かずに真摯に仕事をすることが、一流につながる道なのかもしれない。


こんな感じで、自分は「下積み」自体にネガティブな印象を持っていないが、一方ですごく卑怯だな、と思うこともある。
それは、新人とか若手に対して、「勉強がてら」と言って雑用を投げてくるオッサンだ。

「勉強がてら、この資料コピーしてくれない?」
とか、
「勉強がてら、この資料申請しておいてくれない?」
みたいに言ってくる奴がけっこういた。

この「勉強がてら」というのはマジックワードで、本当は面倒くさいことを押し付けているだけなのに、なんか相手のためになるような空気を醸し出すことができる。

俺は、この「勉強がてら」という言葉は卑怯な言葉だと思う。

「勉強させる」と言うなら、その「勉強になる作業」をやった結果、その人がどう成長して、何がその人のためになるか、作業を振る側が明確にわかっていないといけない。
何も考えないで「勉強になるから」と言って雑用を投げるのは、単に上から目線を保ちたいだけの詭弁である。

それなら、

「申し訳ないけど、自分は忙しいからこれやってもらえるかな」

と正直に言えばいいのだ。
なんでわざわざ「勉強になるから」なんて言葉を述べて、「自分は悪く無い。お前のためだ」みたいな言い訳するのか。
お前のためなんてこれっぽっちも思ってないくせに。

というか、自分の経験上、「勉強がてら」とか雑用を振るオッサンに限って、本人が全くの勉強不足である場合が多い。
本人もわかっていないことを「勉強になるから」と言って丸投げするのは愚かだ。
「俺じゃわかんないから調べてくれ」って素直に言えばいいのに。

逆に、優秀な人が「勉強になるから」と言ってタスクを振ってくれたときは、「タスクを振る本人は余裕でできるようなこと」をあえて、相手の力量に合わせて手渡しているように思う。

その仕事をこなした後で、その新人がどういう風に成長するかを考えた上で、タスクを振ってくれていた印象がある。

結論として言えるのは、雑務に対して真摯になるのは新人だけじゃない。
雑用を振る側も真摯でなければいけない。

面倒だったら素直に「忙しくて面倒だから、申し訳ないけどお願いします!」みたいに言えばいいのだ。

ちっぽけなプライドのために、「勉強がてらやってみたらいいよ」なんて言うんじゃねぇぞ。